★『ひとり達人のススメ』 山折哲雄 主婦の友社 日本語の「ひとり」という言葉には、西洋文化の「個人」にはない様々な意味が含まれている。 「ひとり」という切り口から現代日本の抱える問題、日本人の生き方を考える。 ☆いまの世の中は、サッカーなどのグループ競技に関心が高い。 一方、ひとりで高いレベルを目指す人間については、自分自身と重ねて受け止められないように見える。これは、死を賭けて覚悟を持って、ひとりで戦うという生き方を、いまの社会が忘れつつあるからかも知れない。 ☆かつての「若衆宿」には個人を鍛え、自立した人間にするという側面があり、掟を破ると制裁を受けた。その根底には、人間は飼いならさないと野生化し、殺し合いをしかねないという認識があった。だが、戦後の学校教育はこの認識を捨てた。その結果が、社会で溢れるイジメ問題に表れている。 ☆日本での自殺者が多いのは、日本の文化には自殺文化が内在しているからである。この自殺文化の背景には次の二つがある。 「人間は生きて、やがて死ぬ」といった無常観 「涅槃願望」すなわち、命の盛りを過ぎれば、人生のサイクルに従って生命の火を燃え尽きさせたいという願望。 ☆かつては「最期は、陋港(ろうこう)に死す!でいい」という考え方があった。無一文で一人で朽ち果てることを理想とする価値観があった。 こうした価値観を持てば、死への覚悟が深まり、死への恐怖も薄らぐ。 ☆一人だからこそ、物事をじっくり考えられる。そして、考えて、考えて人間は独り立ちする。 だが戦後教育は、その最も大事なことを疎かにした。 すなわち横並びの平等主義が、仲間内で群れる傾向を生み、一人でいる孤独を耐え難くした。 ☆ひとりになれない人間は、絶えず他人と自分を比較せずにはいられない「比較地獄」そして、「嫉妬地獄」に陥る。こうした地獄に陥らないためにも、ひとりの時間を大切にして、孤独力を高めることは大切である。 cho
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